体臭対策

魚臭症候群について

深刻な悩みをもたらず魚臭

魚臭症候群とは、魚などに多く含まれるレシチンという脂質が、腸内細菌の酵素により「トリメチルアミン」という魚臭に似たニオイ物質に分解され、それが体を回って、呼気や汗や尿の中に排泄されることで特異的な体臭をつくる症状のことです。一種の代謝異常といえるでしょう。この場合には、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)という、トリメチルアミンを分解して無臭化する酵素が欠損していたり、活性が低いことが原因と言われています。

同じような代謝異常には、「フェニルケトン尿症」とか「アルカプトン尿症」のようなアミノ酸の代謝異常もあります。この場合には、知能障害や身体的奇などの心身異常障害を先天性に伴います。アミノ酸が体のタンバク質を構成する原料だからでしょう。

ところが、同じ代謝異常と言っても、「トリメチルアミン尿症」の場合には、体から「魚臭のようなニオイ」を発すること以外にはとんど心身障害を伴いません。またニオイそのものも生まれてすぐではなく、幼児期以降や中には青年期を過ぎたころから徐々に強くなることもあり、周囲からは「たかが体臭」として問題にされないことも多いのです。そのため、今まで魚臭症候群は、医学界であまり話題にも研究対象にもなっていませんでした。

しかしです。ニオイの悩みは自己存在に関わり、社会性の障害をもたらすことも多く、本人にとっては非常に深刻で、重大な問題なのです。

今まで日本では、トリメチルアミン尿症の患者さんは、欧米に比べて非常に稀ではないかと言われてきました。でも私は、無臭志向の強い日本の社会が、そのような魚臭で悩む人の外出を控えさせたり、家の中での閉じこもり生活を強いたりして、表に現れていないだけではないか、と感じていました。

なぜなら、以前私のクリニックのサイトでこの病気の話をしたところ、「魚の腐ったようなニオイ」で悩んでいる人からの質問メールがいくつか寄せられたからでした。しかもその内容は、「何度も死を考えました」といった深刻なものが多くみられました。実際には相当数の患者さんがいるのではないでしょうか。


ダイエット臭とは

本人には気づきにくいダイエット臭

「ダイエット臭」という言葉は私かつけた名前なのですが、急激な食事制限が体臭や口臭を強くするのは事実です。みなさんも、朝食や昼食を抜いた空腹時に、口や体からゾーンと甘蜜っぱいニオイが漂っているのを感じた経験があるでしょう。このような不規則な食生活で一時的に強くなるニオイも、ダイエット臭と言ってよいでしょう。

私の推測では、実際にダイエットをしている人の半数以上は、一時的にせよ「ダイエット臭」が生じている可能性があります。ただ多くの人は、ダイエットで減量することに夢中のあまり、自分の体からニオイが出ていることに気がついていないか、自分のニオイに慣れてしまい、意識していません。ダイエット臭は、ダイエットを継続しているときに徐々に体臭が変化していくため、自分自身で感じにくいという特徴があります。 


オヤジ臭(加齢臭)について

過酸化脂質の酸化ルートによる体臭

化粧品メーカー「資生堂」が、中高年特有の体臭の元となる物質「ノネナール」と、そのニオイの発生の仕組みを発見したと発表しました。20代から70代の男女約20人に同じポロシャツを三晩パジャマ代わりに着てもらい、そこから出るニオイ成分を分析した結果、ニ十代、三十代にはまったくなく、四十代の中年期から目立ち始めるニオイ「加齢臭」が、ノネナールというアルデヒドであることを突き止めたのです。

このノネナールの発生の仕組みを簡単に説明しましょう。

体には、皮膚のうるおいを保つ皮脂を分泌する皮脂腺があります。中高年の皮脂には「9-ヘキサデセン酸」と呼ばれる脂肪酸が増加します。同時に過酸化脂質も増加します。皮脂がこの過酸化脂質と出合うことによりヽ脂肪酸が連鎖的に、酸化分解され、様々な低級脂肪酸などのニオイ物質になります。その一つがノネナールなのです。 

この発見で重要なことは、過酸化脂質の酸化作用がニオイの発生に関わっていることを初めて示した点です。従来体臭は、ニオイの元となる物質が皮膚表面で常在菌によって分解される経路が中心だと思われていました。この経路をシャットアウトする消臭法では、常在菌を減らすこと、つまり殺菌か必要です。

どころが皮膚に住みついている常在菌は、私たちの体には必要な菌なのです。仮にこれらの菌がなくなると、もっと強い雑菌が繁殖したり、カビが増殖して不都合が生じます。

つまり体臭を抑えるために常在菌を抑制すると、他の雑菌が増加して、その雑菌がニオイ物質を分解し、よりいっそう体臭が強くなるというジレンマに陥るのです。

体臭の発生における「過酸化脂質の酸化」ルートの発見は、脂肪酸の酸化分解を防ぐことで、皮膚表面の細菌叢のバランスを乱すことなくニオイを抑制することができる点で、画期的なのです。

さて、ここで私か注目することがあります。

それは、ノネナールの生成における「過酸化脂質」の関与です。この過酸化脂質は、不安定で他の分子と反応しやすいフリーラジカルという物質が、脂質と反応し酸化させることによって生じることが多いのです。

このフリーラジカルは、「老化」が進むことで増加します。つまり、加齢臭の強い人とは、年齢より体が老化している人なのです。 


足がクサイ人は"心が優しい"といっても過言じゃない

足はなぜ臭い?

足はどうしてにおうのでしょうか?

第一の理由は、足には、ニオイの素材がとても豊富だということです。

足は、体のどこよりも角質層が厚く、その表皮細胞が新陳代謝や摩擦で剥げ落ちて大量のアカになります。その成分は主にタンパク質です。さらに皮脂腺からの脂質が混ざります。

この成分を表皮ブドウ球菌やコリネバクテリウムといった細菌が分解を始めます。靴下のすえたニオイは、こうしてできたイソ吉草酸などの低級脂肪酸のニオイなのです。

第二の理由は、足をとりまく環境にあります。

人間は、毛のない猿です。そのせいか、体を覆いたがります。なかでも足は靴下やストッキングの上から、さらに靴やブーツをかぶせるわけですから、当然足の温度は上がりますし、汗も蒸発せずにたまります。これでは細菌のために適度な温度と湿度を提供しているようなものです。

大量の汗をかけば、これは湿度などという生やさしいものではなく、ムレの状態です。こうなると、皮膚の角質層はさらにボロボロ脱落してニオイが強くなります。足のニオイの元凶は、この「ムレ」にあるのです。

しかも足の裏は、手のひらや額と並んで、最も汗腺が密集した場所です。1センチ平方あたり300近くある汗腺から多量の汗が出て、それが靴下や靴に密封された環境で、汗の成分の重炭酸イオンが急増します。この重炭酸イオンはアルカリ性ですから、酸性を嫌う細菌にとっては、最高の環境なのです。

ところで、こうした条件は誰でも同じなのに、足のニオイ人によってずいぶん違いがあるようです。これはどうしてでしょうか?

それは汗の量の違いです。足の裏の汗の量には、かなり個人差があります。というより足の裏だけにたくさんの汗をかく人がいるのです。
 それが「精神性発汗」つまり「心が汗をかいてしまう」人のことなのです。緊張したり興奮したとき、手に汗を握った経験はどなたにもあるでしょう。それが過ぎれば汗は止まるものですが、日常の場面で汗をかきっづけて止まらない人がいます。何か偶然のきっかけで足のニオイが気になったり、汗をかいて足をことさら意識してしまった結果、汗をかくまいと思うほど、かえって汗をかいてしまうという悪循環に陥
ってしまったのです。 


なぜ便のニオイは臭いか?

太古の時代、便のニオイは信号だった

便は必ずにおいます。無臭便などありません。

便は、もともとは食べ物です。食べ物は様々なニオイ物質を含んでいます。その食べ物が消化され、吸収された残りカスが便なのです。だから便はにおいます。

使に特有なニオイは、主にメチルメルカプタンという化学物質ですが、これはタマネギやマメ、ニンジン、ジャガイモなど、多くの食べ物に含まれている成分で、ときには香料の素材にすらなります。

ですから便は、本来ニオイはしてもクサイものではないはずです。実際、赤ちゃんの便は心地よい香りに思えることすらあります。それでは、どうして便は不快な悪臭を放つのでしょうか?

便の中ではタンパク質が分解されて、いろいろな物質が発生します。アンモニア、インドール、スカトール、硫化水素 ‥‥実は、こうした面々が諸悪の根源なのです。

特に、悪玉菌と呼ばれるウェルシュ菌や大腸菌が腸で増えすぎると、これがタンパク質や脂質を分解し、発酵させて、いわゆる腐った食べ物のニオイを発生させます。

人間は、自分の安全を守るため、腐ったものを本能的に拒絶しますから、こうしたニオイを嫌悪するわけです。

さらに、見た目に汚らわしい感じが拍車をかけてしまいます。はるか太古の時代、便のニオイは「私かここを通ったぞ」と主張する手段だったのですが、その意味がなくなってしまった現代人にとって、便は臭いもの、嫌なものとなってしまったわけです。 


口臭の攻略方法

気になるニオイの1位、口臭

女性雑誌や化粧品会社がアンケートをとると、気になる二オイの一位はたいてい口臭だそうです。

とりわけ他人の口臭が気になったとき「自分はどうなんだろう?」と心配になるとのこと。なにしろ人間は二本足で立つ動物です。お互い向かい合えば口と鼻はお見合い状態になって、相手の口のニオイは鼻に飛び込んできます。

しかも口臭を出す側は意外と自分のニオイに気づかないものです。それは、嗅覚は疲れやすいので、いつもかいでいるニオイには慣れてしまうからです。

こと口臭に関しては「人の振り見て我が振りなおす」というわけにはいかないところが、口臭のトラブルの尽きない所以です。

しかしここで申し上げておきたいのですが、口はにおって当たり前なのです。なにしろ人間は、生きるために食べたり飲んだりします。空気も吸います。いろいろなものが入ってきます。入るだけではありません。息や、痰、ゲップなどの出口でもあります。南船北馬の波止場のように朝から晩まで出入りで賑わう場所ゆえ、ニオイはつきものなのです。

それでもやっぱり口臭は嫌です。何とかしたい。その口臭の何たるかを知りながら攻略法を考えましょう。


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