ニオイの素

食事の影響を受ける皮脂のニオイ

食事の影響を受ける皮脂のニオイ

ここでは、皮膚表面から出るニオイについて、考えてみましょう。

皮膚から発するニオイといっても、皮膜そのものに特別強いニオイがあるわけではありません。皮脂腺や汗腺から出される分泌物こそが、体臭の主な原因になっているのです。皮脂腺から分泌されるのは、言うまでもなく油脂成分です。その油脂成分やそれに溶け込んでいる弱いニオイ発生物質が、皮膚表面に分泌された後に分解してできた脂肪酸が、ニオイの原因となるのです。

この皮脂腺には、食事の影響を受けやすいという特微かあります。脂肪分を多食すれば、皮膚は脂っぽくなります。欧米人のそばにいくと、酸味をおびたニオイやチーズ臭さを感じるものですが、これは、獣肉、乳製品を多く摂る彼らの食生活が原因なのです。

ちなみに、我々日本人は、欧米人に言わせると、発酵食品のニオイがするそうです。これは、味噌、醤油、納豆、清酒、その他の発酵食品を多食するせいでしょう。

イノシシやウサギの肉を多食しても、イワシやニシンなどニオイの強い魚を食べても、普段より強いニオイがします。


治療の必要な口臭とは

みなさんも、終電近い電車に乗った時など、何ともいえないニオイに、一瞬たじろいだことがあるでしょう。酒、ニンニク、ニラ、その他のニオイが見事にブレンドされたこのニオイは、決して酒嫌いではない私自身、閉口させられてしまいます。いや「閉鼻」したい思いになります。普段の自分のことは棚に上げて、腹だたしくなってくるから不思議です。

こうした例のように、口臭というと、飲食したものが原因であると考えがちです。確かに歯ぐきなどに食ベカスがたまり、口の中の嫌気性細菌が付着・繁殖して分解、発酵することで悪臭を放つのは事実です。また、歯肉の後退、金属冠や義歯の不適合で、不潔になりやすい場合にもいやな口臭は避口られません。

このような清浄不足による口臭や生理的口臭は、本人が注意して清潔に保つ努力をすることで防げます。

ただし、病的口臭となると話は別です。そのままにせず、病院できちんとした治療を受けることが必要です。

ここで、病的口臭について、その代表的な例をあげてみましょう。


ニオイの発生源は体全体から

ニオイの悩みを解決する第一歩は、ニオイの発生源と原因を正しく知ることです。

確かに、ニオイは空気のようなもので、つかみどころがありません。しかし、ちゃんと発生源もあれば、原因もあります。

参考までに、ニオイの主な発生場所と、一般的な原因をあげてみます。


清潔志向がニオイを増殖

ニオイの一般的な性質、嗅覚の特徴については、だいたい理解していただけたと思います。

ニオイは、よいものならともかく、そうでない場合には、周囲の人だけでなく、自分自身をも大いに悩ますやっかいなものなのです。                    

ワキガ、汗のニオイ、足のムレたニオイ、髪の毛の脂っぽいニオイ、生理のニオイ…これらは、他人から指摘されなくても、ある程度は自覚できるものです。しかし、嗅覚の慣れなどもあって、他人にはにおうのに、当の本人には少しもにおわないこともあります。

友人と話をしていて、ある日突然、「口がにおうわよ」と言われたり、「あの人のそばへいくと変なニオイがする」と話しているのを聞いてしまい、恥ずかしくて思わずその場から逃げ出したくなった経験はないでしょうか。しかも、一度そのような体験をすると、誰も何も言わなくても“におうのではないがと気になってしまいます。


ニオイの感じる仕組み

ここで嗅覚についても、ちょっと考えてみましょう。

嗅覚とは言うまでもなく、鼻でニオイを感じることですが、はたして、どんな仕組みで感じるのでしょうか?

まず、我々が息を吸うと、空気と一緒にニオイの分子が鼻に入り、嗅覚細胞を刺激します。この刺激が一種の電気信号となって脳に伝えられ、そこで初めでニオイ”として自覚される仕組みになっているのです。つまり、ニオイは神経の興奮によっでニオイ”になるわけです。

快いニオイも、不快なニオイも、感じる仕組みはまったく同じです。快・不快の判断は、脳が勝手に行っているのです。

ところで、この嗅覚は、3つの大きな特徴をもっていることを知っておかねばなりません。視覚や聴覚、味覚、触覚などの他の感覚にも同じような特徴がみられるのですが、嗅覚の場合にはそれが際立っています。

その特徴とは、

  1. 順応しやすい
  2. 個人差が大きい
  3. 他の感覚と相互に関連している

この3つです。


ニオイの種類は40万種

ニオイの種類は40万

「ねえ、なんかにおわない?」
「いやだあ、この辺からにおってくるみたいよ」
[やめて、クサイ話は! 気分が悪くなっちゃうじゃない]
 とか、
「いやなニオイ! 頭が痛くなっちゃう」
「別にいやなニオイじゃないよ。私なんか好きだな、このニ
オイ」

というような会話を、一度や2度耳にしたことかありませんか。これは嗅覚が、視覚や聴覚や味覚よりも、ある面では敏感であることを物語っています。しかも、前節で述べたようこ、個人ごとに判断基準が異なっていることを如実に物語りています。

ところで、誰もが日常生活で、実にたくさんのニオイを感じているわけですが、いったいどれくらいのニオイがこの世の中にあるのでしょうか。

ある化学者の説によると、その数は40万種以上にのぼるといいます。しかし、いくら鋭敏な鼻をもってしても、それらのすべてをかぎ分けることは不可能です。人間の鼻では、せいぜい2千種もかぎ分けられればよい方です。たとえかぎ分けられないとしても、人間は生きている限り、雑多なニオイをかぎ続けて生きていくしかないのです。

あまり一般の人に役立つものではありませんが、数限りないニオイを、その性質ごとに大別して分類しようとする試みもなされています。最も知られている分類法は、植物学者としても有名なリンネ(1708~1777)によるものです。


ニオイの感じ方には個人差がある

ニオイに限らず、色でも、音でも、味でも、当然のごとく、快いものと不快なものがあります。

快いものならよいのですが、もしそれらが不快なものなら人間はただちに拒否反応を起こします。不快な色なら思わず目をそむけます。いやな音なら耳をふさぎ、まずいものを口にすればすぐに吐き出してしまいます。

ニオイについても同様で、腐敗したニオイやニンニク臭、アルコール臭などをかぐと、一瞬、顔をそむけたり、呼吸を止めたりして、そのニオイから逃がれようとします。

不快なものから瞬間的に逃がれようとするのは、人間の防術本能のひとつです。

ニオイの感じ方は主観的

ところで、よいニオイ、いやなニオイは、はたしてどのような基準で分けられているのでしょうか。


人とにおいの歴史

記憶に残る二オイ

私たちとニオイの関わりを中心に、生活の中のニオイについて述べてみたいど思います。

その時々の精神状態を左右する大きな要素に、ニオイがあります。

みなさんも、高原を旅した時など、窓を思いつきり開け放ち、朝露のニオイに満ちたすがすがしい空気を胸いつぱいに吸つた経験があることでしよう。誰しもが心洗われる思いをいだき、生きている幸せを感じるひと時です。

でも、悪臭を放つゴミために囲まれて目覚めたのでは、さ幼い頃をなつかしく思い出す人も多いことでしょう。少女の髪のニオイや、少年の汗のニオイで、初恋時代のことを思い出す人も少なくないはずです。

昔なつかしいニオイは、夢多かりし幼い時代の思い出を心のパノラマに映し出してくれます。いやな記憶も含めて、ニオイは思い出の中に生き続けているわけです。


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